他人が撮影した写真、制作したイラスト、スクリーンショットを、許可なく自分のSNSやブログ、ECページに貼る行為は、一般に「無断転載」と呼ばれ、著作権侵害(複製権・公衆送信権など)に当たり得ます。
「ネットに落ちていた」「誰でも見られる場所にあった」は免罪符になりません。
特にブログは、画像をサーバーに保存して掲載(複製+公開)しやすく、権利侵害の構造が明確になりやすい点が要注意です。
ここで混同されがちなのが、「出典を書けばセーフ」という誤解です。
参考)https://www.jbpa.or.jp/copyright.html
出典表示は大切ですが、それだけで転載が合法化されるわけではなく、引用として成立するための要件を満たす必要があります。
参考)https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/seminar/2024/pdf/94141401_01.pdf
さらに、著作権とは別に、人物写真では肖像権など別の権利問題が出る可能性があることも、総務省の事例集で注意喚起されています。
参考)テーマ2 【詳細版】他者の権利を侵害する投稿・二次利用・ダウ…
実務的に危ないのは、次のような“よくある運用”です。
「引用」は、きちんと成立すれば適法になり得ますが、満たすべき条件が多く、画像は文章より難易度が上がりがちです。
文化庁の講習資料では、引用について「必然性」「引用部分が明確に区別されること」「正当な範囲(主従関係)であること」などが示されています。
また日本書籍出版協会の解説でも、引用と認められるために「主従関係」「明瞭区別性」といった要件が重要だと整理されています。
画像で事故が多い理由はシンプルで、「画像が記事の主役」になりやすいからです。
たとえば、ニュース解説記事で“記事本文より大きい画像”を貼ってしまうと、読み手の体験として画像が主・文章が従になり、主従関係が崩れやすくなります。
「引用枠で囲む」「キャプションを付ける」などで明確区別性を確保しても、そもそも引用の必然性と主従関係が弱いと成立しない点が落とし穴です。
運用で使えるチェック観点(画像引用の自衛)
「引用に見せかけた転載」になりやすい例
無断転載が発覚する経路は、権利者の目視や通報だけではありません。
ChromeのGoogleレンズは、画像から「見た目で一致(類似)」する画像や、その画像を含むページを探して提示する仕組みだと説明されています。
Google側の解説でも、レンズは画像の類似性や関連性、さらにホストサイト上の単語などのシグナルを使って検索結果を返すとされています。
つまり、画像に透かしがなくても、トリミングしていても、「完全一致でないと出ない」わけではないのが現実です。
参考)Chrome の「Googleレンズ」で画像から検索をする方…
この“類似で拾える”性質が、発覚のスピードを上げています。
参考)Google レンズ - 目の前にあるものを調べる
加えて、Android向けヘルプでも、Googleレンズで「類似画像」や「画像または類似画像を含むウェブ」が検索結果に出ると明記されています。
参考)Search with an image on Google…
ブログ運用者側の自衛としては、次の観点が効きます。
無断転載が著作権侵害と評価されると、刑事罰の対象になり得ることが、解説記事でも繰り返し注意されています。
たとえば、著作権侵害は「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金(または併科)」と説明されています。
さらに、著作者人格権侵害についても別の罰則枠があり得る点が、法律解説で示されています。
一方で、現場でより現実的に効いてくるのは民事(損害賠償・使用料相当額)です。
参考)写真やイラストの無断転載に関する損害賠償請求を考えたら
法律事務所の解説では、著作権法114条の考え方に沿って、侵害者の利益や、通常のライセンス料相当額などを基準に損害を算定し得る例が紹介されています。
また、商業写真の無断掲載をめぐる裁判例の紹介記事では、使用許諾料を基準に期間分を積み上げて請求額を構成する説明があり、写真の“相場”が争点になり得ることが分かります。
参考)【著作権】写真をウェブページに掲載した行為が「引用」に該当し…
「個人ブログだから大丈夫」「収益化していないからセーフ」という考え方は危険です。
総務省の事例集でも、著作権侵害は営利目的でなくても問題になり得る旨が記載されています。
そして、SNSやまとめ文化の延長で転載が常態化していること自体がリスクであり、軽い気持ちの転載が損害賠償請求に発展し得ると指摘されています。
もし「無断転載してしまったかも」と気づいたときの初動(被害拡大を止める)
検索上位は「違法か」「引用の要件」「損害賠償」の解説が中心になりがちですが、実務で差が出るのは“運用設計”です。
特にAI生成・加工が一般化した今、見た目だけで「自作っぽい」「少し加工したから別物」という判断は崩れやすく、類似画像検索で芋づる式に出典へ辿られる可能性が高まります。
Googleレンズは、画像の類似性だけでなく、画像をホストするページ上の単語やメタデータなどもシグナルに使うとされるため、記事本文やaltの書き方次第で“発見されやすさ”が上がる局面もあり得ます。
ここで有効なのが、「公開前の逆検索」をルーチンにする発想です。
つまり、記事に貼る予定の画像を、投稿前にGoogleレンズ等で検索して、出典・権利者・配布条件が追えるかを確認し、追えないものは使わないという基準を作ります。
これは法律論というより品質管理で、社内の制作フロー(チェックリスト)に落とすと、属人的な判断ミスを減らせます。
すぐ導入できるチェックリスト例(ブログ編集向け)
権威性のある参考リンク(引用の要件:主従関係・明確区別などの整理)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/seminar/2024/pdf/94141401_01.pdf
権威性のある参考リンク(青少年向けだが、営利目的でなくても著作権侵害になり得る・肖像権にも触れる)
テーマ2 【詳細版】他者の権利を侵害する投稿・二次利用・ダウ…
権威性のある参考リンク(Googleレンズの仕組み:類似性やメタデータ等のシグナルで関連結果を返す)
Google レンズ - 目の前にあるものを調べる